2022.10.12
Alkaline TrioのMatt Skibaがblink-182の正式なギタリスト/ボーカリストになってからしばらく経った2022年。真夏に入ったTom復帰の噂は、10月11日にバンドからのアナウンスで正式なものであったことが判明した。目下最新アルバムである『Nine』において、Mattはblink-182の屋台骨としてミュージシャンの技量を十二分に発揮しており、すっかりblink-182のメンバーとしての存在感を確立していたように見えたが、やはりファンは「Tom DeLonge」の幻影をそこに見ていた。故に今回の「Tom Delonge復帰」のニュースは世界中で大きな反響を巻き起こした。
2015年にblink-182を脱退したTom DeLongeは、並行して活動していたAngels & Airwavesで音楽活動を継続。そのサウンドはどこかblink-182のサウンド・スケープを感じるが、よりフューチャリスティックな響きを持つオルタナティヴ・ロックと言えるだろう。また、音楽活動と並行して様々な活動をおこなっており、その中でも最も目を引くのは「地球外生命体/未確認飛行物体の研究家」という肩書きだろう。blink-182を追いかけてきたファンならTomが「宇宙に関心を持っていて、オカルトめいたことをやっている」ということはなんとなく知っていたかもしれない。
Tomが中心となって設立された地球外生命体/未確認飛行物体研究/サイエンス・エンターテインメント会社「To The Stars Academy of Arts & Science」は、CIAにディレクターとして24年間勤務した人物や、ロッキード・マーティン社の先進開発計画「スカンクワークス」に携わっていた人物、国防省の元情報高官、ペンタゴンの元国防次官補佐などによるエリート集団が在籍し大きなニュースになったが、To The StarsがYouTubeにアップした動画にパンク・ファンからは「Tom、いったいどうしちゃったんだ?」、「おかしなことにならないといいけど……」というコメントが相次いだ。
Tomが未確認飛行物体、いわゆるUFOに興味を持ったのはblink-182でギターを弾くずっとずっと前のことで、またblink-182として活動しているときもその情熱を持ち続けていたようだ。コメディアンであるJoe Roganのポッドキャスト「The Joe Rogan Experience」に出演したblink-182のドラマーTravis BarkerはTomについて聞かれ「ツアー中、バスの窓から未確認飛行物体を探していたんだ。時にはビッグフットの話もしていたね。彼がUFOなんかについて話す時本当に情熱的だったんだ」と語っている。
TomがTo The Starsで活動しているということを皆が忘れかけていた2020年、米国防総省が発表したニュースが世界的に大きな話題となった。これは米国防総省が機密解除された未確認の飛行現象の映像3本を公開し、その映像はTomが設立したTo The Starsによって収集されたものであったからだ。BBC NEWS JAPANの記事の中にも「トム・ディロング」の名前が明記されているのはなんだか不思議であるが、「Tomは本気だったんだ」と驚いたファンも多かったはずだ。
米国防総省の名前が登場したとしても、やはりファンは不安を拭いきれないだろう。自分が好きなバンドのメンバーがオカルトにのめり込み、音楽から遠ざかっていくのは見たくない。しかし今のところTomはただ宇宙が好きで、宇宙に行くことを夢見続けているピュアなサイエンス・オタクのように見える。何年かしたら本当に宇宙人を発見しているかもしれないし、実際に宇宙飛行している可能性も全然あり得る。
blink-182で輝いたTomを知っているリスナーとしては地球外生命隊研究家としての活動にのめり込み、ギターの弾き方を忘れないように見守りながら、Angels & Airwaves、そして新たなblink-182の音楽を長く長く楽しめたらと願うばかりだ。
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