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2022年上半期のパンク・シーンを振り返る : ROAMが解散、そのレガシーを受け継ぐニューバンド達

2022.07.18

 

イングランドのポップパンク・バンド、ROAM が2022年6月22日に自身のSNSで解散することを発表しました。

 

2012年にリリースしたデビューEP『No Common Ground』でポップパンク・シーンに登場。Real FriendsやKnuckle PuckとともにThe Story So Far以降に盛り上がりを見せたポップパンク・ムーヴメントの中心的存在感をみせた。このムーヴメントが本格的になり、彼らは2枚の自主制作EPをリリースしたのみであったにもかかわらずHopeless Recordsと契約を結んだ。2021年に契約解除となるまでに3枚のアルバムを発表。来日も果たし、日本にも多くのファンを持っている。

 

 

 

そんな彼らが10年の活動に終止符を打つ。解散に際して発表したステートメントは実に清々しかった。

 

 

“こういうことは感情的になりやすいので、短くまとめたいと思います。僕らの10年間は、愛しかありません。

僕たちが18歳でROAMを始めた時、ROAMがこのような場所へ連れて行き、このような人たちに出会うとは想像もしていなかった。成功した時も、何度も失敗した時も、僕らの味方でいてくれたことに感謝します。

僕たちは今、クリエイティブな面でも人生の面でも、新しい道へと進む準備ができています。ある者は新しい音楽プロジェクトを、またある者は音楽以外の道へ進み、家で過ごす時間を持つことになります。

最後の公演は間もなく発表される予定です。何一つ変えることはありません。信じられないような20代前半を与えてくれて、ありがとう”

 

 

 

2022年9月に開催されるROAMのファイナルツアーのタイトルは「10years is enough tour」。10年間、スタイルを変えることなく走り続けた彼らのレガシーは次のポップパンク・シーンへ受け継がれていくだろう。このツアーが開催される前に、ROAMに影響を受けたサウンドを鳴らす新しいバンドを紹介したいと思う。

 

 

ROAMにあって、Real FriendsやKnuckle Puck、Neck Deep、State Champsにないものはなんだろうか。結成から10年の月日を経て解散したからこそ言えるのは、最後まで貫き通した等身大のピュア・メロディックなポップパンクだ。ROAMのレガシーを受け継ぐマサチューセッツ州ソーガス出身のトリオ、Drivewaysの最新シングル「Lights On Long Island」は、ROAMを彷彿とさせるメロディワークをスケール大きく描いたようである。

 

 

ROAMと同じく2010年代初頭に活躍したSeasons Changeの楽曲名からバンド名を取ったカナダ・オンタリオのポップパンク・プロジェクト、Sideview Driveが今年発表したEP『Lavender』も、ROAM全盛期の2010年代中期のポップパンクのトレンドからの影響を色濃く感じられた作品であった。Sideview Driveはソロ・プロジェクトでバンド形態でないところも魅力。2010年代のポップパンクが、バンドという形でなくても次の10年に受け継がれていくことが、2030年のポップパンクにどう影響を与えていくか楽しみだ。

 

 

ノースダコタ州ファーゴを拠点とするBrooklaneの最新シングル「Breakaway」は、ROAMが2017年にリリースし、キャリアの中でも最も人気の高いアルバム『Great Heights & Nosedives』からの影響をもろに受けたサウンドを鳴らすバンドで、元々New Found Glory直系とも言えるポップパンクをプレイしてきたこともあり、カラフルでキャッチーなヴィジュアルも相まってポップパンク・シーンのネクスト・ブレイク候補に挙げたいバンドの一つだ。

 

 

そして最後に紹介したいのが、カナダ・バンクーバーのChief Stateだ。彼らが2022年上半期にリリースしたアルバム『Waiting for your Colours』は、ROAMが影響を受けたアメリカン・アンダーグラウンド・ポップパンク・バンドを数々輩出してきたMutant League Recordsから発売された。初期Knuckle Puckとも言えるが、時折顔を見せるメロディック・パンクのエッセンスとハイトーン・ボイスはROAMを彷彿とさせてくれる。Chief Stateは既に北米での注目は高く、世界中のポップパンク・リスナーからの評価は高い。彼らを筆頭にカナディアン・ポップパンクが熱く盛り上がっていくのが想像出来る。

 

2010年代のポップパンクを象徴するバンドのひとつ、ROAM。彼らがこの10年間で残してくれたものは大きい。いつかまた彼らが集まってライブをしてくれる日までこのシーンをウォッチし続けていたい。

 

 

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