NEWSお知らせ

2023年、シーンにカムバックしたポップパンク・バンド達

2023.12.28


 
2023年、PUNKLOIDのポストで最も読まれたのは、Sum 41の解散の速報だった。勝手に永遠だと思っていた彼らが活動を終えることの衝撃は、シーンにとって計り知れないものであった。2024年には「PUNKSPRING」での来日が決定し、最後になるだろう日本でのステージは歴史的なものになるに違いない。これは、NOFXにも言えることだろう。
 

 
ただ、2023年は暗いニュースばかりではなかったと思う。どちらかと言えば、ポップパンクに関して言えば明るいニュースの方が多かった。一番印象に残っているのはやはり、Tom DeLongeが復帰したblink-182が、ニュー・アルバム『ONE MORE TIME』をリリースしたことだろう。当初はMatt Skibaを追い出すような形にも見えたが、MattはTomの復帰を祝福し、Alkaline Trioとしてシングル・リリースもしたことから、そこにダークサイドはないと信じたい。11月30日に公開された「Anthem Part3」のライブ・パフォーマンス・ビデオは驚くべき大観衆に包まれた3人が耳馴染みのあるblink-182のファスト・チューンをかっ飛ばす。その姿は本当に感動的であるし、幅広い世代に祝福されているのも印象的であった。このアルバムのリリースは、語るにはまだ少し新しすぎるかもしれないが、間違いなくこれから何十年と積み重なっていくポップパンクの歴史の中でもハイライトなモーメントになるはずだ。
 

 

 

Yellowcard


 
Yellowcardの復活も大きな注目を集めた。ファニーな復活のプロモーション を経て発表されたEP『Childhood Eyes』は、まるで時が止まっていなかったかのような、あの頃のYellowcardを彷彿とさせる楽曲ばかりで、タイトル・トラックはミュージックビデオとして公開から約半年で40万回近く再生されヒットとなった。彼らの名作と名高い『Ocean Avenue』から20周年と言うこともあり、アニヴァーサリー・ツアーの開催やSteve Aokiによるリミックスなど、ファンにはたまらない1年になったに違いない。
 

 

Fall Out Boy


 
Fall Out Boyも解散していた訳ではないが、実に5年振りとなるニュー・アルバム『So Much (for) Stardust』をリリースし、ビルボードTOP200で6位にランクインするなど不動の人気を見せつけた。このリリースが注目を集めた理由の一つとして、2003年のデビュー・アルバム『Take This to Your Grave』以来、20年ぶりにFueled By Ramenからのリリースとなったところにある。Fueled By Ramenの今があるのも、Fall Out Boyの存在によるものが大きいし、現在まで続くエモロックの経典として、今も計り知れない影響力を放ち続けている。
 

 

Boys Like Girls


 
Fall Out Boyよりも長くアルバムをリリースしていなかったエモロック/ポップパンク・バンドがいる。Boys Like Girlsだ。ポップパンクとして語るには少しポップすぎるかもしれないが、2000年代後半にAll Time Lowなどと共に一大ムーヴメントを築いた重要バンドであることに変わりはない。11年振りとなったアルバム『Sunday at Foxwoods』は、驚くべきことに初期Boys Like Girlsのはつらつとしたエナジーが煌びやかに光る楽曲が多く収録されており、特に「THE OUTSIDE」はこれまでのBoys Like Girlsの活動の歴史の中で撮影されてきた多くの映像資料を組み合わせたミュージックビデオが注目を集め、「OUTSIDER VERSION」として懐かしの3OH!3、そしてState Champs、The Summer Set、The Ready Setというエモ/ポップパンクのカリスマが参加した、素晴らしい映像作品も残されている。彼らの復活が大きな刺激となったかのように、2000年代後半のエモ/ポップパンク・ムーヴメントで活躍したいくつかのバンドも復活している。
 

 
国内盤などはリリースされなかったが、国内でも多くのファンをもっていたI Call Fivesも11年振りとなる作品『Not for Everone』をリリースしている。2012年からタイムスリップしてきたかのような、全く変わることのない突き抜けるようなポップパンクは健在だ。そして、こちらも同じく11年振りとなるニュー・アルバム『Second Chance』をリリースしたFreshman 15も、本当に長い間音沙汰のなかったバンドであるが、アルバムの完成度は素晴らしいものがある。なぜなら、全く退化していなければ、進化もしていないからだ。これはもちろん、不変の魅力があるという、褒め言葉である。
 

 

 

SWANKY DANK


 
国内ポップパンク/メロディック・シーンでも嬉しい復活のニュースがあった。9月1日、SWANKY DANKがソーシャルメディアにて活動を再開することを発表し、数日後にニュー・シングル「Everything」を配信リリースした。これはblink-182がアルバムをリリースする数ヶ月前であったこともあり、クラシックなポップパンク・チューンを携えてカムバックしたSWANKY DANKにとてつもないエネルギーを感じたのをよく覚えている。ライブ・シーンに戻ってきたのも感慨深いし、多くのファンが歓喜した。
 

 

 
毎週、ポップパンクだけでも100曲近い楽曲がリリースされている今、バンドは常に後続の未来のスター達に追われ、ファンに楽曲を届けるために試行錯誤を繰り返している。毎日のようにソーシャルメディアで存在感を示していかないと、忘れられてしまうかもしれない……。現代はあまりにも良い音楽が多すぎる。変革期を迎えているポップパンク・シーンは特に忙しない。少しの休息を経たバンドには、どこか余裕があり、音楽をプレイする高揚感が伝わってくる。シーンにカムバックしてくれたアーティスト達をファンは必ず祝福するだろう。上記のようなアーティスト達からは少なくとも、そうした喜びが感じられ、印象的であった。

BACK TO LIST

ARCHIVE

PAGETOP