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2022年上半期のパンク・シーンを振り返る : スタイリッシュに継承される90′ Melodic

2022.07.04

 

現代のパンクロックの中でも90年代のシーンに影響を受けたバンドは多いが、純粋な輝きを放つバンドは少ないだろう。ポップパンクのカラフルなメロディであったり、メタルコアのソリッドなリフやサウンド・デザインが少ながらず影響を受けていて、サウンド・プロダクション、ビジュアルを含めて「ピュアにクラシック」であるバンドは一握りだ。

 

 

その中でも2022年に生きるクラシックなヴァイブスを持ったスケートパンクの代表格はスペインを拠点に活動するBlowfuseだろう。2022年5月には、Bad Religionのヨーロッパツアーに帯同し、数千人の観客相手にまるで90年代にタイムスリップしたようなパフォーマンスとサウンドで新たなファンを獲得した。”一周回って”、リバイバル的なスケートパンクのクールさを現代に鳴らす貴重な存在としてグローバルな人気を誇るBlosefuseを筆頭に、世界には「あの頃のサウンド」をそのまま鳴らしているバンドがたくさんいる。

 

 

オーストラリアの若き4人組LOLAのデビュー・アルバム『Don’t Tell My Mum』は、Bad Religion直系の渋いメロディ詰め込んだ「What’s The Point」をはじめ、タイムマシーンで90年代からやってきたかのようなサウンドを鳴らす。

 

This is a Train Wreckの最新EP『Change Up』は、ラウドなドラミングにチープでアグレッシヴなリフ、そしてエモーショナルなコーラス・ワークが古き良きスケートパンクのサウンド・プロダクションを通じて鳴り響く。ニュージャージーのFree The Witnessのアルバム『Deliverance』も前時代的なドンシャリ・サウンドとエコーの効いたボーカルが「あの頃」感があって心地良い。This is a Train WreckとFree the Witnessを掛け合わせたようなスタイルのNo Censentが発表したアルバム『Bastard Nation』は、メロディック・ハードコアのエレメンツも組み合わせながら、チープなドラミングが絶妙にハマった一枚で、アンダーグラウンドなバンドが好きならオススメしたい。

 

 

 

上記のバンドに比べればやや現代的なプロダクションではあるが、古き良き時代のメロディがたっぷりと詰まった良作も多かった。フロリダのSide Outも復活を果たし、EP『Change of Turn』をPeople of Punk Rock Recordsからリリースした。この作品にはThriceの初期名曲「To Awake And Avenge The Dead」が収録されているのでマニアックなスケートパンク・ファンは必聴と言えるだろう。全体的な仕上がりからはそこまで「あの頃のスケートパンク」感はないかもしれないが。

 

シングルのみのリリースではあるが、スイス・クール出身のHead Smashedもピュアな90年代サウンドを鳴らす希少なバンドだ。「Blood Red Rain」、「He’s My Demon」とどちらも耳に残るメロディがたっぷり詰め込まれた楽曲だ。

 

 

 

2022年のパンクシーンに時代遅れという言葉は似合わない。局地的なシーンがあったり、どこかでリバイバルが発生しているとは言い切れないものの、こうした「あの頃のサウンド」を鳴らすバンドが一定数いて、パンク・リスナーを楽しませてくれている事が重要だ。90年代からずっと続くこのサウンドは決して色褪せない。

 

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