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2022年上半期のパンク・シーンを振り返る : 少しずつ盛り上がってきたサッド・ポップパンク

2022.07.11

 

The Story So Far以降のアメリカン・ポップパンク・シーンを象徴するバンドと言えば、Real FriendsKnuckle Puckだろう。彼らはエモーショナル、センチメンタルなサウンド・デザインで“Sad Pop Punk”と呼ばれたりするが、非常に的を得た表現というか、サウンド以外の部分で持ち味となっている要素を的確に表していると言えるだろう。

 

新しいボーカルを迎え動き出したReal Friends、Rise Recordsを離れWax Bodegaと契約し心機一転動き出したKnuckle Puck。どちらもニューチャプターへと突入していった2022年の上半期に、Real Friendsはシングル「Always Lose」、「Tell Me You’re Sorry」、Knuckle PuckもEP『Disposable Life』を発表した。持ち前のスタイルをたっぷりと詰め込み、シーンでの存在感をばっちりと示した。

 

 

 

彼らが登場したとき、「The Story So Farのクローンだ」とも言われたが、次第にバンドらしさを表現するようになっていった。最初はどんなバンドも同じシーンの似たバンドに形容されるし、年を重ねていくとそれがプラスに働くことの方が多い。今回は、新章へと突入したSad Pop Punkの二大巨頭に次ぐ、世界各国のフォロワー達を紹介していく。

 

 

 

 

Real FriendsとKnuckle PuckをミックスしたかのようなOverthinkerのシングル「Late Again」には、Glazedがフィーチャーしており、サッド・ポップパンクの継承者としてとても分かりやすいサウンドを鳴らしている。Overthinkerに比べるとやや落ち着いた世界観を見せるSafety Gearもアートワークなどから目指しているスタイルがどんなものなのか明確に感じ取れる。コロナ禍に結成されたLake Mosaicのデビュー・アルバム『Perseverance』もゆったりとしたサウンド・スケープが見事で、Real Friends直系とも言えるクリーン・トーンのメロディを持つCommon GroundのEP『Are You Still Listening?』も、サッド・ポップパンクがマイクロ・ジャンルとして確立したことを証明するかのような仕上がりと言えるだろう。

 

 

サッド・ポップパンクの広がりはアメリカだけでなく、ここ日本を含め世界各国でも観測することが出来る。アメリカでじっくりと育まれたサッドなスタイルを上手くキャッチし体現しているバンドのひとつに、東京を拠点に活動するGood Griefの名を最初に挙げたい。彼らはずっと”SAD BOYS”のキャッチを持って活動してきたし、ニューシングル『Haunt / Highways』はGood Griefが大切に鳴らし表現してきたスタイルの光と影ともいうべきサウンドを聴かせてくれる。

 

 

フランスのAtlas for Homeは、Real Friendsに影響を受けつつ、自国のポップパンクらしさを武器としてサウンドに落とし込むことに成功している。Chunk, No! Captain Chunk!やCan’t Bear This Party、Back Garden Lightといったカラフルなポップパンク/イージーコアから感じられる”それ”がAtlas for Homeにはあるし、どこか懐かしい響きがある。

 

 

オーストラリアのLoose Endは、現在アメリカやイングランドを凌ぐ勢いを見せる自国の音楽シーンのトレンドを見事にキャッチし、サッドなポップパンクに落とし込んでいる。それはインディロックやポップパンクからだけでなく、メタルコアやさらに広域のロックといったものも全て飲み込んでいるように聴こえてくる。

 

イングランド/スコットランドのWRTHLESSはサッド・ポップパンクをベースに、より豊かなギターワークを組み込んでいく。どこかTiny Moving Partsなどトゥウィンクル・エモの影響も感じられるのが彼らの聴きどころだろう。コンスタントにシングルリリースを続け、じわじわとヨーロッパ全土にその名を知らしめている段階だ。

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