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“Nevermindの赤ちゃん”は、なぜ今Nirvanaを訴えたのか

2021.08.27

 

ロック史に残るNirvanaの名作『Nevermind』は、今から30年前の1991年に発売され、収録曲「Smells Like Teem Spirit」や「In Bloom」他、Nirvanaを象徴する楽曲の数々が収録されている。それとは別に、アルバムのアートワークも超有名で、ロック好きなら一度は目にしたことがあるはずだ。

 

今年で30歳になる”元・赤ちゃん”ことSpencer Eldenが、今大きな話題になっている。と言うのも、このアートワークをめぐり、Nirvanaの元メンバー Dave GrohlとKrist Novoselic、 フォトグラファーKirk Weddle、故Kurt Cobainの遺産管理人ら15人を相手に、性的搾取の名目で訴訟を起こし、各人に対し15万ドル(約1,650万円)の損害賠償を求めたと言うのだ。Spencerはこれまで、アルバムの周年企画として自らプールに飛び込みアルバムアートワークを再現したり、「Nevermind」とタトゥーを彫ったりなど、この作品に対し好意的な感情を抱いていたように見えたが、どうやら30歳になった今、『Nevermind』のアートワークについて考えが変わったようだ。

 

なぜ彼は、Nirvanaを訴えたのか。頭ごなしに金儲けの為なんだろうと決めつけるのは良くないし、Spencerがこれからの時代の為に今まで「仕方が無い」とされていたものを考え直したとすれば、この訴訟も理解出来る。一体何が起こったのか、Spencerの言い分を見ていこう。

 

撮影当時、生後4カ月だったSpencerは、父親がフォトグラファー Kirk Weddleと友人であることから、アートワークのモデルに起用されたそうだ。報酬はわずか200ドルだったことに加え、写真の使用許可書にサインしておらず、性器部分をステッカーで覆う約束も破られていた。これについてSpencerは、写真が児童ポルノに当たると指摘しており、また訴状の中で、「人生を通じて収入獲得の可能性を消失した」、「永続的な精神的苦痛を被っている」と記述している。

 

ここで疑問なのが、ではなぜアルバムのアニバーサリー企画に参加してきたのか、と言うことだ。Nirvanaの人気に便乗し、人気者になりたかったのではという意見が出てくるのも分かるし、Spencerがこの企画の際、「裸で撮影してもいいよ」と話していたという記録もあるようで、訴訟に至ったきっかけは別にあるのではと推測出来る。

 

2016年に公開されたSpencerのインタビューの中に興味深い記述がある。Spencerは以前は撮影時の条件などについて仕方無いと思っていたが、自身のアート作品の個展を開くにあたり、Nirvana側に同写真を撮影した写真家やNirvanaのメンバーらと一緒に何か出来ないかと連絡を入れたところ、マネージメントや弁護士を通してくれと突っぱねられたそうだ。この態度が原因で、Spencerは訴訟に至ったのではないだろうか。『Nevermind』のアートワークの中で、1ドル札に向かって裸で泳いでいるのは自分であり、写真の使用許可書にサインしていないのであれば、この言い分は当然理解が出来る。

 

ジェンダー問題をはじめ、性にまつわる考え方が大きく変わりはじめている昨今。児童ポルノは決して許されるものではないが、この訴えが認められるのか否か、音楽ファンは注目しているだろう。約1ヶ月後の9月24日、『Nevermind』は予想もしていなかった30周年を迎える。

 

 

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