2021.05.13
「ガールフレンドの事で泣いている一般的な白人のポップパンクとは違った視点を持っている」と話すのは、老舗レーベルFueled By Ramenと契約を果たしたMeet Me @ The Altarのボーカル、Edith Johnson。アフリカン・アメリカンの女性で結成されたMeet Me @ The Altarは、自分たちのようなブラック、ブラウンの女の子を励ましたいと音楽活動を続けている。
人気YouTubeチャンネル、Punk Rock MBAでもポップパンクシーンの白人率の高さについては語られていたが、彼らが決して黒人差別のもとに成り立ったコミュニティではない事は明らかにした上で話を進めたい。ただ、そうした音楽シーンの中で有色人種だけで構成されたバンドがこれまで注目を浴びる事は少なかった。ちょうどPure Noise Recordsと契約を果たしたAction/Adventuresが、契約前に制作したミニ・ドュメンタリー「Pop Punk in Color」の中で、その問題に触れている。そこでは、対等に評価されるのに、黒人であることが少なからず障壁になっていると吐露している。
フロリダを拠点に活動するMeet Me @ The Altarは、デビューEP『Changing States』をひっさげ、D.I.Y.でブッキングしたツアーで全米を完走。その活躍はAll Time LowやHalseyの目に留まり、特にHalseyは「Black Creators Fund」というアーティストへの資金援助/プロモーション支援プログラムで、バンドをサポート。楽曲の良さはもちろん、アーティストとしての魅力が認められ、Fueled By Ramenとの契約を果たしている。
彼女達は決して、黒人だけの、女性だけのポップパンク・コミュニティーを作ろうとしている訳でなく、同じポップパンクを鳴らすバンドとして、すべての人種、年齢、性別のアーティストが対等な評価を受けるべきだと考えている。どんな感情や価値観も、ひとりの人間から生まれるものであり、ガールフレンドの事で泣いていても決して問題ないし、それがポップパンクらしいと考えることも何も問題がない。『ナショナル・ジオグラフィック -女性たちの世紀-』で、CNN特派員のクリスティアン・アマンプールが「今、女性たちが直面している最も重要な課題は?」という質問に対してこんな回答をしていたことを思い出す。
「男性たちを味方につけること。いまだに女性は男性よりも下だと考えられるケースが多い。女性達は決して、男女の立場を入れ替えようとしている訳ではないし、女性が支配する社会を目指しているわけでもない。平等を手に入れ、同じ立場になりたいだけです。」
ポップパンクがどんな人の心に寄り添う音楽であっても、何もおかしくないし、そうであるべきだ。誰もが平等に、同じ立場で音楽を鳴らし、評価されなくてはいけない。そこからブレイクするアーティストこそ本当に素晴らしいアーティストなのではないだろうか。Meet Me @ The Altarの活躍がそれを証明してくれることに期待している。
メンバー:
イーディス・ジョンソン / Edith Johnson:ヴォーカル
テア・キャンベル / Téa Campbell:ギター
エイダ・フアレス / Ada Juarez:ドラムス
https://www.facebook.com/MMATAband/
BACK TO LIST