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稀代のパンク・シンガー、Frank Turnerがニューアルバム『FTHC』リリース!

2022.02.12

 

イングランドのパンクロック/フォーク・シンガーソングライター、Frank Turnerが通算9枚目のスタジオ・アルバム『FTHC』をXtra Mile / Polydor Recordsからリリースしました。パンク・ファンのほとんどは、NOFXとのスプリット作品『West Coast vs. Wessex』がリリースされるまで、彼のことを知らなかった方も多いと思いますが、自国では圧倒的な人気を誇る有名ミュージシャン。

 

元々、ポストハードコアバンド、Million Deadのシンガーとして活躍していましたがバンドの解散をきっかけにソロのキャリアをスタート。ライブではバックバンドThe Sleeping Soulsがサポートし、このバンドのメンバーにはDive Dive、Dustball、The Pressure Room、Andy Yorkeなどで活躍したメンバーが在籍している。

 

そのサウンドは、Against Me!やRise Againstといったメインストリームで活躍するパンクロックからBrian Fallon、Chuck Ragan、Dave Hause、Craig Finnなどといったパンク・シーンで活躍するようなシンガー・ソングライター系を彷彿とさせるもので、スタイリッシュで現代的なパンク、もしくはロックといったものだ。Billy Bragg、Ryan Adams、Elliott Smith、John Martyn、、Neil Youngなどなど彼が受けたクラシックなロックの影響も色濃く感じられる。The Bar Stool PreachersなどPirate Press Recordsっぽいのが好きな方にもお薦めしたい。

 

 

Turnerは、新型コロナウイルスのパンデミックの影響により、2020年に計画されていたツアーの半分程度を打ち切った。その後、自宅から毎週「Independent Venue Love」と題したアコースティック・ライブ配信を行い、パンデミックを理由に苦境にある人々をサポートするために資金調達を行なった。このライブ配信では、過去の楽曲に加え、新しい曲も演奏。新曲の中には、本作に収録されている「The Gathering」も含まれていた。

 

 

Turnerはライブ配信で新曲をプレイし続け、2020年の夏にイングランドでのパンデミックの規制が緩和され始めたことに、オックスフォードにあるレコーディング・スタジオ「Abbey Recording Studio」に入り、Sigur Rós,やMuse、Foster the Peopleを手掛けたことで知られるRich Costeyと共にレコーディングを開始。ドラマーにはゲストとしてMuseのDominic HowardやNine Inch Nails、Angels & Airwavesで知られるIlan Rubinが起用された。

 

アルバムの仕上がりについてTurnerは、2018年の『Be More Kind』や2019年の『No Man’s Land』で挑戦したフォークやエレクトロニックなスタイルの楽曲とは違い、直接的で生々しく攻撃的であると話しており、ライブで演奏するために作ったと自身のYouTubeチャンネルにアップしたTrailerの中で語っている。

 

 

いくつもリード・シングルと呼べるキラーチューンが収録されている『FTHC』であるが、「Miranda」は特に多くの反響を呼んだ。この楽曲は、Turnerの父親がトランスジェンダー女性として生活していたことに由来しており、歌詞の中ではTurnerとMirandaのそれまでの波乱に満ちた関係や、トランスジェンダー女性になった後に様々な問題から和解することが出来たということを歌っている。この楽曲について、The Guardianのインタビューで「Mirandaは本当に良い人で、僕の父はそうではなかった」と話している。

 

 

私の父は近頃、「ミランダ」と呼ばれているんだ
トランスジェンダーの誇り高き女性で、私が抱えていた恨みも薄れてきている
なぜなら、彼女が誰であるかは問題じゃなくて、彼の振る舞いが問題だっただけだからだ
そして、今、父は「ミランダ」になり、私たちは大丈夫だ

疎遠になっていた間にも
いつもあなたが変わることを望んでいたよ
今までの苦労が報われたそして
ミランダ、あなたに会えて嬉しいよ

(*歌詞の一部)

 

今年の1月から「The Never Ending Tour of Everywhere」と題されたリリースツアーが予定されていたものの、オミクロン株の流行によりキャンセルとなってしまった。ただ、このレコードが2022年のロックシーンに与える影響は大きいだろう。英語ではあるがシンプルなので、気になる人はちょっとずつ翻訳して呼んでみてほしい。彼が広く支持されている理由もバッチリわかるだろう。フォークからロック、そしてパンク・ファンにFrank Turnerの新作『FTHC』は響くだろう。

 

 

Frank Turner 『FTHC』
タワーレコード・オンライン : https://tower.jp/item/5212081/FTHC

 

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