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Anti-Flag解散の理由、抱えている問題は何か

2023.07.29

パンクロック・バンド、Anti-Flag (アンチ・フラッグ)が2023年7月下旬に突如解散を発表しファンに衝撃を与えました。この解散は、バンドやバンド・メンバーを直接名指し”していない”、匿名の性的不品行疑惑がネット上で浮上したことが理由であるとされている。

この疑惑は、2023年7月19日にenough.というYouTubeチャンネルにアップされたポッドキャスト「40: Kristina Sarhadi: “People don’t hang their lives on a music scene, but we do”.」の中で語られた内容によって浮上した。被害者はKristina Sarhadi (クリスティーナ・サルハディ)、ニューヨーク在住のセラピスト兼レイキヒーリング・マスター である彼女は、Anti-FlagのボーカリストJustin Saneを直接名指しすることはなかったが、彼女はポッドキャストで彼を「リード・シンガー」と呼び、被害の経緯を語っている。1時間のポッドキャストで彼女は、困難な家庭生活に苦しんでいた過去を振り返りながら、当時のパンク・シーンがいかに安全な避難所となったかを説明している。彼女はインタビューの中で、Anti-Flagが、彼女がまだ9歳か10歳の頃から好きだったバンドのひとつだと語っている。彼女はコンサートでリードシンガーに会い、ライブの後に会うことになったと話す。その後、性的被害に遭い、その詳しい様子についても語っている (内容はここでは明記しないが、ポッドキャストの中で語られている)

このポッドキャストの後、Anti-Flagはソーシャルメディア・アカウントを削除し、有料のPatreonアカウントでこのようにコメントを発表した。

「Anti-Flagは解散し、Patreonは月額料金を請求しないモードに切り替えました。今後数週間のうちに、すべてのパトロンへの返金処理を開始します。すべての払い戻しが処理され次第、パトロンページも削除します」。

これが公式に発表されたバンドからの唯一の声明であったため、ファンの多くは混乱したが、次第にこの解散がJustinの性的不品行疑惑によるものであることであることが分かり、解散は一気に現実味を帯びた。Anti-Flagが運営するレーベルA-F Recordsに所属するバンドからは契約を一方的に解除する旨の投稿が相次ぎ、この疑惑が真実であるようにパンク・シーンに事件の内容が広まっていった。

この投稿をInstagramで見る

 

Justin Sane(@justinsane)がシェアした投稿

2023年7月26日 (水曜日 / 現地時間)、疑惑が浮上しているJustinがInstagramを更新。Patreonへの投稿で発表されたバンドの最近の解散について、自身に対する性的暴行疑惑の結果であると語った。続けてJustinは、

「最近、私に対する性的暴行の申し立てがありましたが、これらの話は全くの虚偽であると断言できます。私は同意のない性的関係を結んだことはありませんし、性的な出会いの後に女性から声をかけられ、私が彼女の同意なしに行動したとか、彼女に何らかの暴力をふるったと言われたこともありません。この疑惑を知ったショックを受け止め、数日経った今、私は記録を正すためにこの声明を発表する」とメッセージを発表した。

続けてJustinはこのように声明文を締め括る。「性的暴行は被害者に多大な影響を与えますし、私はこのような被害者たちや、抑圧や不平等に苦しみ、犠牲となり、貶められ、虐待されている人たちのために立ち上がることに、成人してからの全人生を捧げてきました。私はこれまでも、そしてこれからも、そのような人間であり続けるだろう。私について語られている発言は、私が信じていること、そして生涯を通じて私自身がどのように行動してきたかに対するアンチテーゼです。そして、Anti-Flagの解散についてはバンドとして、この状況では続けることは不可能だという判断が下された結果になります。家族や友人、そして私に支援や協力を申し出てくれた多くのファン、ミュージシャン、バンドに感謝します」。

このJustinの投稿にはAnti-FlagのChris、Chris#2、Patからの声明文も加えられている。

「Anti-Flagというバンドの核となる信条は、性的暴力や虐待の生存者すべてに耳を傾け、信じることである。Justinに関する最近の疑惑は、その信条に真っ向から反するものです。従って、私たちは即座の選択肢は解散しかないと考えました。
 
この疑惑を耳にした瞬間から、私たちは衝撃を受け、混乱し、悲しみに暮れ、そして心を痛めています。これは非常に深刻なことだと考えていますが、この30年間、Justinが女性に暴力を振るったり、攻撃的になったりするのを見たことはありませんでした。この経験は、私たちの心を根底から揺さぶりました。私たちは、この対応が一部の人々にとって十分迅速でなかったかもしれないことを理解し、謝罪します。これは私たち全員にとって初めてのことであり、状況を処理するのに時間がかかっています。
 
Anti-Flagというバンドに参加できたことは、私たちにとって名誉なことでした。私たちが進むべき道を模索する中で、すべての人に癒しがもたらされることを祈っています」。

Justin自身がこの告発の内容を否定していることに加え、他のバンドメンバーもJustinがそのような人間であるように見えたことがないとしながらも、現状バンド活動を継続することは出来ないとして”解散”を決定しています。この疑惑を否定したJustinがどのようにして疑惑を晴らすのか、またはこの疑惑が本当であるのかは現在誰も答えを知らない。現在のパンク・シーンにおいてこのような疑惑を持つメンバーが在籍するバンドが活動を続ける場所はどこにもない。

 

参考 : https://www.antimusic.com/news/anti-flag_address_sexual_misconduct_allegations_in_wake_of_break_up-072723/

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