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【2024年上半期】フレッシュなエモーショナル・ポップパンクの名盤6選

2024.06.11


 
Real FriendsやKnuckle Puck、日本ではGood Griefらに代表されるようなエモーショナルなポップパンク。それらはサッド・ポップパンクなどと呼ばれることもあるが、明確にポップパンクのサブジャンルとして別れているわけではない。近年再び盛り上がりつつあるネオン・ポップパンクと呼ばれるものとは違うし、かといってメロディック・ハードコアに分類されるわけでもない。独特なエモ感覚を持ったこのポップパンクは、パンクロック、ハードコア、エモと多様なシーンに受け入れられる要素を持っている。このコラムでは、2024年の上半期にリリースされたいくつかの注目すべき作品をアルバム、EPに関わらずアルバムレビューして見たいと思う。
 

 
▶︎Lyndhurst 『Dear Anxiety』
ペンシルバニア州ヨーク出身、2022年のデビュー・アルバム『Between the Here and Everywhere』以来2年振りのリリースとなる本作は、5曲入りのEPでありながら充実した内容に仕上がっている。失恋、友情、若者の不安などといった親しみやすいテーマはポップパンクにはありがちであるが、Sleep On Itで活躍したボーカルZech Pluisterを彷彿とさせる力強いボーカルワークや、Youth Fountainにも通ずる胸を締め付けるようなエモーションがたっぷりと詰まっており聴きごたえ抜群だ。ラストのカバー曲「Never Gonna Give You Up」はやりすぎ感が逆に心地良い。
 

 

 

 
▶︎SIGHTS 『Living Lost』
2016年に大阪を拠点に結成され、外国人メンバーであるボーカル/ベースNickとギタリストMark、そして国内パンクシーンを支えてきたギタリストTAKAKIとドラマーMasunoriからなるSIGHTSのファースト・アルバム。Cold YearsやThe Run Upといったユーロ・パンク/ポップパンク、そしてHot Water MusicからRed City Radioといったアメリカン・ロックの哀愁、ダイナミズムを感じさせるSIGHTSのサウンドは、国内シーンでは唯一無二のものであるように思う。ネイティヴのボーカリストというだけでなく、重厚なコーラスハーモニーも素晴らしい。Country YardやGood Griefといったバンドのファンもチェックしておいてほしいバンドだ。
 

 

 

 
▶︎Good Hangs 『I Can’t Make Friends (Like I Used To)』
イリノイを拠点に活動する”Elder Emo”を自称する5人組。ボーカリストMichael “Stein” Steinheiser、ギタリストのAnthony PierriとMatt Ackman、ベーシストDominic Pierri、ドラマーJack MancusoによるGood Hangsの本作は、2023年のアルバム『Greatest Hangs』の好評を経てリリースされた4曲入りのEPだ。ポップパンクと親和性の高いエモサウンドは、Real Friendsを彷彿とさせるメロディがたっぷりと詰め込まれている。特にMichaelのボーカルの伸びやかさは素晴らしく、ハイトーンでややシャウト気味であり、哀愁漂う。
 

 

 

 
▶︎Find Me Alone 『To The Self, With Love』
東京を拠点に活動するポップパンク・バンド、Find Me AloneのセカンドEP。ネイティヴな英詞でエモーショナルに歌うボーカルは、ポップパンクmeetsハードコアなタッチでフロアのシンガロングを誘うようであり、エモロック/トゥウィンクル・エモからの影響を色濃く感じさせるギターワークもポップパンク・バンドにしては珍しく、他の国内ポップパンクにないFind Me Aloneらしさを際立たせている。エンディングを飾る「Daigaku Emo」は夏の夕日を背に走り出したくなるような、ポップパンク・エモバラードと言える仕上がり。
 

 

 

 
▶︎Go For Gold 『So Sick』
2017年アーカンソー州で結成。これまでに『Daydreamer』、『Cope』と2枚のアルバムをリリースしており、良い意味でアメリカン・ローカルな人気を着実に積み重ねてきた。2010年代初頭のポップパンクとハードコアのクロスオーバーが成熟した後に登場したMajor LeagueやThis Time Next Yearといったバンドを彷彿とさせるメロディワークに懐かしさを感じる。2024年もこうしたポップパンク・バンドが日夜ローカルなライブでツアーしていると思うと胸が熱くなる。
 

 

 

 
▶︎Call It Off 『watch the world』
2013年からオランダを拠点に活動するポップパンク・バンド、Call It Off。2015年に『Lovers & Liars』、2017年に『Abandoned』とアルバムをリリース、その後もシングルリリースなどを実直に続けてきた実力派でありながら、アンダーグラウンドなバンドとしてコアなファンを持つだけに留まっている。オランダ訛りの発音は心地良くまた聴き取りやすく、すっと心に馴染む感覚がある。Matt Skiba在籍時のblink-182を彷彿とさせるメロディアスなポップパンクはもっと知られても良いはずだ。
 

 

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