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2023年、リリース10周年を迎えるポップパンク・アルバム

2023.01.09

 

2013年と言えば、The Story So Farに触発され、世界各地で結成された新しいポップパンク・バンドが続々とデビューを果たした印象的な年でした。2000年代に盛り上がりを見せたエモ/ポップパンク・シーンの人気バンドとは違った動きを見せはじめ、新たな時代の始まりとなったこの年に発表された作品を振り返ってみましょう。

 

State Champs 『The Finer Things』

2011年に自主EP『Apparently, I’m Nothing』を発表、その後”新世代のポップパンク・ニューカマー”として、New Found GloryのSteve Kleinをプロデューサーに迎え制作されたニューヨーク出身 State Champsのデビュー・アルバム。国内盤はICE GRILL$からリリースされたことで、国内のポップパンク・ファンからも遅れることなく評価されていった。ミュージックビデオにもなっている「Elevated」ほか、現在もライブでプレイされる彼らの名曲がたっぷりと収録された一枚だ。

 

 


The Story So Far 『What You Don’t See』

2011年に『Under Soil And Dirt』でデビューしてからは、Title Fightを凌ぐ勢いでその人気を押し上げ、ポップパンク、ハードコアとジャンルを横断しながらその独自性を深化させてきた。現在、USシーンの一大レーベルと言えるPure Noise Recordsが飛躍的に成長を遂げたのは、やはり彼らの存在が大きいだろう。そんな中セカンド・アルバムとしてリリースされた本作は、前述のSteve Klein (New Found Glory)がプロデュースを手掛け、「Empty Space」や「Things I Can’t Change」などの名曲を生み出した。The Story So Farの最も”ポップパンク”な傑作だ。

 

 

Knuckle Puck 『The Weight That You Buried』

State Champs、Neck Deepに注いで注目を集めていたのがシカゴのKnuckle Puckだ。当時立ち上がったばかりだったBad Timing Recordsからのリリースで、このレーベルからはNeck Deepとのツアーに向けて制作されたツアー・スプリット作もリリースしている。当時の彼らと言えば”The Story So Farクローン”とも揶揄されていたものの、後にRise Recordsとの契約を果たし、現在までポップパンクに宿るエモロックの精神をアーティスティックに表現し続けている。

 

 

Neck Deep 『Rain In July / A History Of Bad Decisions』

ポップパンクが盛り上がっていたのは、決してアメリカだけではない。The Story So Farの出現に呼応するようにしてイングランド/ウェールズから2012年に登場した彼らのデビュー・アルバムは、2枚のEPをまとめたもので、Pinky Swear Recordsという小さなレーベルから発表された。後にHopeless Recordsからリイシューされ、全世界的なポップパンクの名作となった。まだまだ荒々しさが残るものの、フロントマンBen Barlowの透き通るようなボーカルが映えるアコースティックな名曲「A Part Of Me」は、今もよくカバーされる。また、同レーベルから後を追うようにRoamがEP『Head Down』でデビュー。

 

 


Real Friends 『Put Yourself Back Together』

Knuckle Puckの後を追うようにして登場したReal Friendsは、2012年にリリースしたEP『Everyone That Dragged You Here』で耳の早いポップパンク・リスナーから根強い人気を獲得していた。翌年Fearless Recordsと契約を果たす彼らが自主制作EPとしては最後となった本作は、単なるThe Story So Farフォロワーとは違う、けぶるような朝霧の中に煌めく光のように儚いエモーションを見せる。2010年代中期以降のポップパンクのトレンドに新たな潮流をもたらした一枚と言えるだろう。

 

 

Seaway 『Hoser』

アメリカ、イングランドといったパンクの2大大国の隣国でも沸々とポップパンク・シーンが活性化。その昔、メロディックパンクがそうであったように、カナダからもSeawayがMutant League Recordsからデビュー・アルバムとなる本作を発表した。10代の甘酸っぱい濃い模様を描いたような歌詞世界やミュージックビデオのディレクションはもちろん、2000年代のエモ・ポップパンクの流れも組みつつ、ハードコアの影響を排除した新しい世代のポップパンクを完成させ、2015年にPure Noise Recordsとの契約を掴むことになる。

 

 

Mayday Parade 『Monsters In The Closet』

2010年代に結成されたバンドばかりが盛り上がった年ではなかった。2005年に結成され、”エモ・ポップパンク”のムーヴメントの中心にいたMayday Paradeも中堅バンドへと成長し、Fearless Recordsから通算4枚目となる本作を発表した。ポップパンクやエモロックのファンだけではなく、”Mayday Parade”のファンベースをしっかりと築き、本作ではシンプルなバンドアンサンブルを軸としながらも、オーバーグラウンドのアメリカン・ロック・リスナーを意識した仕上がりとなっている。

 

 

A Day To Remember 『Common Courtesy』

2000年代後半には”ポップパンク/ハードコア”のトップ・アーティストとしてFour Year StrongやSet Your Goalsらと共にその人気を国際的なものへと成長させたA Day To Remember。2013年は彼らの結成10周年の年であり、通算6枚目のアルバムでこれまでのキャリアの集大成とも言えるサウンドを生み出した。自主レーベルADTR Recordsから発表された本作は、バンドの歴史を語る上で避けて通れない地元について歌った名曲「City of Ocala」やこれまでの活動の振り返るような「Right Back At It Again」などの名曲がずらりと並ぶ。

 

 

All Found Bright Lights 『Into The Wild』

日本国内のポップパンク・シーンはどうだっただろうか。少しずつシーンと呼べるほど全国各地からバンドが登場し、中でも名古屋から登場したAll Found Bright Lightsはポップパンク/ハードコアを鳴らしつつも名古屋という土地で育まれてきたメロディックパンクなどの影響を上手くクロスオーバーさせ、人気を博した。平均年齢21歳であったにもかかわらず、NAMBA69との全国ツアーを行うなど当時の注目度も高かった。

 

 

We Are The Champion$ 『In The Dreams Of Our Youth Forever』

All Found Bright Lightsに続くようにして登場したWe Are The Champion$は、スタジオライブなど実直な活動を続け、ポップパンクとハードコアを現場から繋ぎながらシーンを盛り上げていった。2012年にリリースしたデモ音源『Be Proud Of Yourself』を経て高い完成度を見せる本作は彼らの代表曲「PMA」や「We Are」といったシンガロングを巻き起こすエネルギッシュな楽曲が詰まっている。解散してしまったが、国内ポップパンクの下地を築いた功労者。

 

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