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【2024年下半期】胸を熱くさせたメロディック・ポップパンクの名曲まとめ

2024.12.28


 
全ジャンルがトレンドで、そして同時進行で進化した2024年。All Time LowやSimple Planといったバンドに代表されるようなネオン・ポップパンクがリバイバルし続けていたり、The Story So Far以降、Knuckle PuckやReal Friendsといったサッド・ポップパンクの次世代バンドが続々登場したり、それらは何重にも複雑に重なり合い、新たなトレンドになっていく。そんな時代の中で、Knuckle PuckやReal Friendsに代表されるサッドな質感を持つメロディック・ポップパンクも歴史を積み重ねていく中でさまざまな変化が起こっている。2024年下半期にリリースされたこれらのスタイルのバンドのシングルを中心に、印象的なものをピックアップしていく。
 

 

 
▶︎Knuckle Puck 「On All Cylinders」
2023年にリリースしたアルバム『Losing What We Love』発表後、初となる新曲「On All Cylinders」は、前進すること、特に最も孤独を感じる時について歌った曲であり、慣れ親しんだものへの賛辞であると同時に、永遠に同じでいられるものなどないことについて書かれている。結成から13年、初期からほとんど変わることのないエモーションはそのままに、「On All Cylinders」はMotion City Soundtrackを彷彿とさせる淡いシンセをうっすらと被せ、楽曲後半に向けてエネルギーを高めていくドラマティックな楽曲構築で聴くものを引き込んでいく。Knuckle Puckとしての楽曲制作に進化を感じられる1曲である。またこのシングルはMotion City Soundtrackが久々にシングルをリリースしたこともあって、重要な意味があるようにも思えた。
 

 
▶︎Offset Vision 「99% Crit Chance」
オーストラリア・タスマニアを拠点に活動するバンドOffset Visionは、The Story So Far直系の新世代バンドとして、耳の早いリスナーから注目を集めているバンドだ。マイペースながらシングルリリースを続けており、本楽曲「99% Crit Chance」は、彼らのInstagramの投稿によると次にリリースされる待望の新作EP『I Can’t Feel A Thing』からの先行シングルとのこと。彼らをThe Story So Farの直系であることの最たるポイントは、Parker Cannonと瓜二つのハイトーン・ボーカルの存在だ。バンドサウンドはまだまだ荒削りではあるが、精力的なライブをこなし、良いプロデューサーとの出会いがあれば、一気にトップシーンとの契約も狙えるバンドであることは間違いない。
 

 
▶︎Anxious 「Head & Spine」
アメリカ・コネチカット出身のポップパンク/メロディック・バンド、Anxiousが2025年2月21日にRun For Cover Recordsからリリースする待望のニュー・アルバム『Bambi』からの先行シングルとしてリリースしたのが「Head & Spine」だ。ポップパンクやハードコアを根っこに感じさせつつも、オルタナやインディロックの持つ広大なサウンドスケープを盛り込み、エモーショナルなメロディのアトモスフィア、アーティスティックなソングライティングを追求した、野心的で深みのある楽曲に仕上がっており、間も無く発表される『Bambi』への期待を高めている。
 

 
▶︎Koyo 「Mile A Minute」
ICE GRILL$招聘による来日公演も成功させ、日本でも多くのファンを持つポップパンク/メロディック・ハードコア・バンド、Koyo。2024年11月に、ライブでも定番となってきた楽曲をリワークし、まとめたEP『Mile A Minute』をリリース、この楽曲はその作品に収録された『Would You Miss It?』以来初となる新曲となっている。「Mile A Minute」は、まるで2010年代のアメリカン・ポップパンクを懐かしく思い起こさせるディレクションが施されたミュージックビデオからも感じられるように、バンドの未来を指し示すワイドスクリーンのポップパンク・バンガーとも言えるパワーに溢れている。ここからどのようなスタイルへと進化していくのか、現代のトレンドにもなっているオルタナ方面へと進むのか、それとも「Mile A Minute」のように、無駄を削ぎ落としたポップパンク/メロディック・ハードコアへと深化していくのか、わずかなスタイルの違いからも目が離せない。
 

 
▶︎Good Grief 「Contempt」
東京を拠点に活動するポップパンク・バンドGood Griefが、これまでにリリースし、ライブでもアンセムとなっている楽曲を再録、『GOOD SONGS : BETTER TIMES』として12月4日に配信リリースした。先行シングルとしてリリースしてきた「Contempt」「Mayfly」「Home」「Forever」はもちろん、新しい楽曲のアレンジは、現在進行形のGood Griefの良さを引き立たせるものとなっており、ファンは改めて、楽曲に潜んでいた魅力に驚いたに違いない。ここ数年は、再録やリミックス、リマスター、さらには過去作を基に新たに作り直すなど、一つの作品でさまざまなバージョンをコンスタントにリリースするアーティストが増えている。Good Griefがそれを日本でやっていることの影響は大きいはずだ。
 

 
▶︎FOR A REASON 「Growing Up」
12月8日に幕張メッセで開催された「REDLINE ALL THE FINAL」RIOTステージでの強烈なライブ・パフォーマンスがYouTubeで公開されたのも記憶に新しい、ベテラン・ポップパンク・バンド、FOR A REASONの目下最新曲。9月には東名阪を巡る 「WORLD TOUR 2024」を開催し、新しいファンも増え続けているバンドがその魅力を発揮した「Growing Up」は、アメリカン・ポップパンクからCOUNTRY YARDまで、幅広いスタイルをFOR A REASONらしく貫いた仕上がりとなっている。何よりライブ映えするシンガロング・パートは強く印象に残る。
 

 
▶︎Calling All Captains 「skin & bones」
カナダを拠点に活動するバンド、Calling All Captainsが7月にリリースしたEP『(e)motion sickness』からミュージックビデオとして公開した楽曲。前作『Slowly Getting Better』はEqual Vision Recordsからのリリースであったが、この作品からNew Damage Recordsへと移籍している。初期Real FriendsやKnuckle Puckが登場した頃の、胸を掻きむしるようなエモーション炸裂のポップパンク・サウンドは、ハードコア・リスナーからも人気が高い。
 

 
▶︎Overthinker 「Yes Man (Don’t Call Me Again)」
フロリダのサッド・ポップパンク・バンド、Overthinkerのデビューシングル「LATE AGAIN」は、2022年のコラム (https://www.punkloid.com/news/punkcolumn03-sad-poppunk/) でもピックアップしていた。この2年間でバンドはメロディックなエレメンツをより繊細なものへとアップデート。ほのかに香らせていたネオン・ポップパンクの香りも残しつつ、Overthinkerらしさとして昇華している。2020年代に登場したバンドが少しずつキャリアを積み重ねていく中で、オリジナリティを見せている。それを振り返って感じるのはとても面白い。
 

 
▶︎Loose End 「Bad Habits」
Overthinkerと同じく2022年からポップパンク・シーンで注目を集め出したのが、オーストラリア・メルボルンを拠点に活動するポップパンク・バンド、Loose Endだ。つい先日、わずか16ドルで制作した「Champagne (While It All Goes South)」のミュージックビデオが印象的だが、7月にリリースした「Bad Habits」はポップパンク・シーンにおける彼らの立ち位置をステップアップさせるような楽曲で、ちょっぴり顔を覗かせるイージーコアなリフワークも面白い。他のバンドと比べて抜きん出る個性はまだまだないものの、持っているポテンシャルは高いだろう。
 

 
▶︎Goalkeeper 「Black Hole」
フィラデルフィアを拠点に活動するポップパンク・トリオ、Goalkeeperがこの夏発表したシングル「Black Hole」は、これまで少し曖昧になっていた”Goalkeeperというポップパンクバンドらしさ”を形作ることに成功した楽曲と言えるだろう。パンクロックの荒っぽさと骨太なビートから、一気に哀愁を加速させて疾走するメロディック・ポップパンク・チューンへと変貌していく「Black Hole」は、そのミュージックビデオのディレクションからも、バンドが目指しているスタイルを感じることが出来るだろう。この、アメリカの若いバンドたちの退廃的な雰囲気は、なかなか真似して出せるものではない。

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