2026.09.06

Andrew W.K.が、ニューアルバム『Temptation To Exist』をサプライズリリースした。2021年の『God Is Partying』以来、約5年ぶりとなる新作で、これまでの代名詞だったマキシマリストなハードロックから大きく離れたインストゥルメンタル・ジャズ・ノワール作品に仕上がっている。
2001年のデビューアルバム『I Get Wet』と代表曲「Party Hard」で広く知られるようになったAndrew W.K.。祝祭、生命力、忍耐、そして生きることそのものへの肯定を極端なまでのエネルギーで表現してきたが、『Temptation To Exist』では、その思想をまったく異なる音楽的角度から掘り下げた。アルバムを構成するのは、ピアノ、ブラス、木管楽器、チェロ、パーカッション、ヴィブラフォン、オルガン、シンセサイザーなど。巨大なギターとアンセミックなボーカルを前面に出してきた従来のスタイルとは対照的に、シネマティックで探索的、時には不穏さも漂わせる音像が広がる。
Andrew W.K.自身がプロデュースとミックスを担当し、ピアノ、ギター、ベース、ドラム、パーカッション、オルガン、チェレスタ、ヴィブラフォン、キーボード、シンセサイザーなど多数の楽器を演奏した。さらにNick Laneがトロンボーン/バストロンボーン、Gabe Noelがチェロ/バスハーモニカ、Ryan Tharayilがアルトサックス/フルート/クラリネットで参加。Tharayilはアシスタント・エンジニアも務めている。
これまでAndrew W.K.が“パーティー”という言葉を通じて扱ってきたのは、単なる享楽ではなく、生きることそのものへの向き合い方だった。『Temptation To Exist』でも存在そのものを見つめる姿勢は変わっていないが、その表現方法は高揚感のあるロックから、より抽象的で内省的なインストゥルメンタル音楽へと変化した。
2009年にはソロピアノを中心とした『55 Cadillac』を発表しており、Andrew W.K.にとって今回が初めての実験的なインストゥルメンタル作品というわけではない。しかし『Temptation To Exist』ではフルバンド編成へと規模を広げ、より多層的なアレンジを構築している。
前作『God Is Partying』では、それまでの祝祭的な音楽性を維持しながら、より暗く心理的な側面を強めていた。そこから5年間の沈黙を経て発表された今作では、その延長線上を進むのではなく、Andrew W.K.の別の音楽的側面を全面的に提示した。
レコーディングとミックスはロサンゼルスのValentine StudiosおよびLobrutto Visuals / R.C.U. Audio Westで実施。エグゼクティブ・プロデューサーにはSteev Mikeが名を連ね、エンジニアリングをAndy Petr、マスタリングをHowie Weinbergが担当した。Weinbergは長年にわたり数多くのAndrew W.K.作品に携わってきたほか、現代ロック/メタルを代表する多数の作品を手掛けてきたマスタリング・エンジニアとして知られる。
『Temptation To Exist』は全10曲、約40分を収録。「Michael’s Theme」から始まり、「Nightmares」「No Clue」「Manhattan Beach」「North Hollywood」「Insomnia」まで、従来のAndrew W.K.作品とはまったく異なる景色を描き出す。約25年前に「Party Hard」で提示した、生きることを最大限に肯定する思想。その根底にある“存在すること”への関心を保ちながら、Andrew W.K.は『Temptation To Exist』で新たな部屋へ足を踏み入れた。
『Temptation To Exist』収録曲
1. Michael’s Theme
2. Nightmares
3. Edge of Interior
4. Between Veils
5. No Clue
6. Manhattan Beach
7. North Hollywood
8. Double Boulevard
9. For Steven
10. Insomnia
『Temptation To Exist』
2026年8月28日リリース
全10曲
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