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2021年を振り返る : アフリカ系アメリカ人ポップパンクの躍動

2021.12.23

振り返れば、ポップパンクシーンの歴史の中で注目を集めたアフリカ系アメリカ人のバンドはいただろうか。パンクと名の付くサブジャンルにおいて、白人が占める割合が高く、これまでアフリカ系アメリカ人のバンドがブレイクしたり、大きなレーベルと契約したというニュースは無かったように思う。しかしBlack Lives Matter以降のシーンには、アフリカ系アメリカ人を中心に構成されたバンドの活躍が目立ち、メジャー/インディ・レーベルも彼/彼女らに注目し、続々と契約を結んだ。そんな動きがあった2020年を経て、今年はいくつも重要な作品がリリースされメインストリームで活躍するようになった。白人のポップパンクバンドらもウェルカムであり、人種問わずポップパンクというサウンドで繋がっていくのは、インターネットでも手にとるように感じることが出来た。本コラムでは、アフリカ系アメリカ人を中心とするポップパンクバンドの作品の中で、今年リリースされた重要な作品をピックアップしレビューしていく。

 

 

Meet Me @ The Altar『Model Citizen』
Release : Fueled By Ramen
Link : https://www.meetmeatthealtar.com/

 

今年5月に「自分たちのような女の子を励ましたい~ポップパンクに変革をもたらすニューカマー、Meet Me @ The Altar~」というコラムをPUNKLOIDで公開、反響も多かったMeet Me @ The Altarは、フロリダを拠点に活動する女性3人組のポップパンクバンド。All Time LowやHalseyの目に留まったことでFueled By Ramenとの契約を獲得し、今年アルバム『Model Citizen』をリリースした。そのサウンドはCarousel KingsやSettle Your Scoresといったポップパンク/ハードコアを彷彿とさせるバウンシーでキャッチーなもので、カラフルな見た目を体現するかのようにメロディが色鮮やかに弾けていく。

 

 

楽曲に込められたメッセージもアフリカ系アメリカ人の女性に寄り添ったもので、「ガールフレンドの事で泣いている一般的な白人のポップパンクとは違った視点を持っている」というコメントも残している。nothing,nowhereやAll Time Lowのツアーに帯同するなどポップパンク・ブレイク街道まっしぐらの彼女達は2022年もシーンを笑顔にしてくれるポジティヴなヴァイブスを振りまいてくれるはずだ。

 

 

 

 

 

Action/Adventure 『Pulling Focus』
Release : Pure Noise Records
Link : https://www.facebook.com/ActAdvband/
タワーレコード・オンライン : https://tower.jp/item/5196935/Pulling-Focus

 

イリノイ州シカゴを拠点に活動するAction/Adventureは「Pop Punk in Color」というキャッチフレーズの元、活動を行っている。これについては今年6月に書いたコラム「Pop Punk in Color -次の世代に差別を持ち越さない為に活動を続けるAction/Adventure-」で詳しく書いているが、アフリカ系アメリカ人としてポップパンク・シーンで活動してきた経験から感じたことをドキュメンタリーミニビデオとして公開している。

 

 

ミュージックビデオにもなっている「Poser」はそんな彼らの思いを皮肉のようにディレクションしており、大きな話題となった。サウンドはスタンダードなアメリカン・ポップパンクで、初期State Champsのような爽快感やアップ感などに満ち溢れている。いくつかのパンク・メディアが彼らの作品を年間ベストにリストアップするなどサウンド以上にリリックやバンドのアティチュードが共感を呼んでいる。

 

 

 

 

 

Magnolia Park 『Halloween Mixtape』
Release : Epitaph Records
Link : https://www.instagram.com/magnoliaparkfl/
タワーレコード・オンライン : https://tower.jp/artist/4687813/Magnolia-Park

 

今年10月にEpitaph Recordsとの契約を発表したフロリダ州オーランドを拠点に活動するMagnolia Park。2019年に結成、シングル/MVをコンスタントにリリースしてきた彼らの注目度の急上昇っぷりは凄まじく、あっという間にEpitaph Recordsと契約してしまったという印象がある。エモーショナルで甘酸っぱいポップパンク・サウンドのクオリティの高さはもちろん、キーボードをフィーチャーしているのも一周回って現代的な雰囲気を醸し出していると言える。ボーカリストJoshua Robertsのカリスマ性も素晴らしく、ミュージックビデオで彼の魅力にハマっていく人も多いはずだ。

 

 

リリックでBlack Lives Matterなどに言及することはなく、その歌詞も多くは白人も黒人も関係なく抱える心の悩みやセンチメンタルな思い出に関するものだ。『Halloween Mixtape』はこれまでリリースしたシングルのコレクション・アルバムのようなもので、フルアルバムとは言えないが、彼らがどんなバンドであるかを知るのにぴったりな作品。Lil Lotusやiamjakehillとのコラボなど、エモラップな雰囲気もエッセンスとしてブレンドしていたり、これからまた新しいスタイルを生み出しそうな予感がする。

 

 

 

 

 

KennyHoopla 『SURVIVORS GUILT: THE MIXTAPE//』
Release : Sony Music Entertainment
Link : https://www.instagram.com/kennyhoopla/

 

オハイオ州クリーブランド出身のシンガーソングライターKenneth La’ronによるKennyHooplaは、現行のポップパンク・シーンには属さず、メインストリーム・ロック、ポップス、そしてヒップホップの中で活躍している。本作はblink-182のドラマーTravis Barkerを迎え制作されておりヒップホップの要素は薄く、完全にポップパンク・アルバムと言っていい。Travis Barkerをキーパーソンにアメリカのロック全体がポップパンク化する流れはMachine Gun Kellyを筆頭に加熱、今では多くのアーティストが何気なく90年代ポップパンクで現代をロックしているが、数年前では考えられなかったことだろう。そんなムーヴメントを盛り上げる一人として、KennyHooplaは高い存在感を見せている。

 

 

ミュージックビデオ「hollywood sucks//」は、真っ青な青空の下をマウンテン・バイクで走る”あの頃のポップパンク”を彷彿とさせるビデオ・ディレクションが施されており、今年5月に公開されてから約半年で160万回を超える再生回数を叩き出している。バンドではなくシンガーソングライターという立場でポップパンク・シーンに属さず、こうしたパンクのムーヴメントを起こすというのはこれまでに類を見ないもので、まさに現代的なブレイクと言えるだろう。2022年までこの火は燃え続けるのか、移り変わりの激しいトレンドの中でKennyHooplaが次に何を考えているのか、注目しておきたい。

 

 

 

 

最後に、ポップパンクとは言い切れないが、Equal Vision Recordsと契約したCherie Amourも面白い存在だ。ポップパンクだけでなく、ポストハードコアやメタルコアと言ったアクティヴなシーンにも同じような動きは見られ、2022年以降もインパクトのあるバンドが登場してくるだろう。

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